近年増加している、実店舗で商品を確認後に最安のネット店舗でその商品を購入するという、ショールーミングの消費行動は、実店舗での販売とネット店舗での販売の価格構造を顕著に反映したものである。

 

この消費行動に対する実店舗側の対応策として、ネットとリアルの販売ルート、およびそれに関連するサービスの整備としてのオムニチャネルがある。

 

本記事では、ショールーミングを整理するとともに、その対策としてのマーケティングの可能性を打ち出してみたいと考える。

 

目次

 

 

1.オムニチャネル化は、リソース制約の下の一案

 

 

ショールーミングの行動をネット店舗での購買ありきと見る場合、実店舗側に対策として、ネットと合わせたリアルでの販売ルートの統合を図るオムニチャネル化は合理的にみえる。

 

しかし、実店舗での販売管理費がネット店舗のそれよりも多くになる傾向がある中で、ネット店舗の最安値の店で商品を購入する志向を持つ消費者を取り込むには、自社のオムニチャネルでの当該商品が実店舗およびネット店舗を含めて全店最安値となっている必要がある。

 

 

本記事では、シュールーミングの対策としてのオムニチャネル化を検証するために、実店舗での販売とネット販売について、消費者の負担観点での比較を考える。

 

実店舗での主な消費者の負担は、実店舗の販売価格分、移動のコストおよび商品を吟味する手間がある。

 

また、ネット販売での主な消費者負担は、ネット接続料・検索の手間、ネットの販売価格分、送料、受け取りの手間がある。

 

ショールーミングの行動の内容から、実店舗への移動コストおよび商品吟味の手間とネットへの接続料・検索の手間を、リアルでの購入とネットでの購入の比較の対象から外してみる。そうした場合、両者を比較する際には、販売価格差、送料および受け取りの手間が構成要因に切り替わる。

 

合理的なオムニチャネルのサービスを設計する場合、これらの構成要因に関連する事柄を考えるのが指針となる。

 

例えば、他店との販売価格差に依存しないためには、完全自社ブランド商品を優良顧客向けに自前の実店舗で限定数販売する案がある。加えて、送料は当日発送なら相場より高く設定しても、商品ブランドの価値算定上、売れる見込みであるといった関連付けのサービスの案もできる。

 

なお、実現性の観点より、現行の自社リソースのキャパシティでは、このレベルまで達成可能といった検討を合わせて行う必要がある。

 

 

このように、顧客へのメリットおよび自社のオリジナル性を、リソース制約と合わせて追求していく過程では、オムニチャネルというクールな表現とは異なる、泥臭い試行錯誤があり得るし、結果としてのサービス案がオムニチャネルの概念に当てはまらないことも起こり得る。

 

より良いサービスの構築へのステップの意味では、「オムニチャネルの概念そのものは対策の一案としての位置づけになる」という、サービス案の種類の充実が求められるといっても良いだろう。

 

2.ハンドメイド型のマーケティングへの回帰を通じた検討余地あり

 

 

オムニチャネルそのものは、マス・マーケティングとは異なり、ワントゥワン・マーケティングの流れをくむ形での個人の特性に見合ったサービスの追求に映る。しかし、リソース制約から個々の特性に対しての完全な適合は難しい。幸いにして、データの活用によるマーケティングを実践・検証できるインフラ環境が整いつつある。

 

サービスの効果を適宜可視化しながらハンドメイド型のマーケティングを形作って行くのが、理想への近道だろう。

 

 

 

(参考)

・IBM Global Business Service Executive Report 「取引から関係へ 変わりゆく消費者とのつながりを模索して」

http://www-06.ibm.com/industries/jp/dist/reports/pdf/131114_FTTR_WP2.pdf

 

 

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松島和史
代表・DataStrategist
主にサプライチェーン産業のノウハウを活かして、生産・物流・販売の統計を用いたデータ解析の設計から解析・改善の深耕まで実践中。モノから人へ。マーケティング視点と業務視点両方ありのプレイングマネージャータイプ