自組織の限られた資源とは別に、協調によって他の資源を用いた活動を試みる場合、選択肢として外部連携がある。その代表的な形態がアライアンスである。
基本的にWin-Winの関係構築を前提として、契約を結ぶプロセスを急ぎがちであるが、契約前にマーケティング機能としての検証プロセスをはさむべきである。なぜなら、マーケティング担当部署またはその視点を持つ人材は、市場に近い立場で自組織および他組織の動向を得手不得手の分析と合わせて監視できる環境にあり、彼らの市場の合理性を反映した意見の表明は、連携の可否判断の有力材料となり得るからである。
本稿の結論から先に言うと、筆者はWin-Winの関係が暗黙で含まれる「一本道の論理のアライアンス戦略は不十分なもの」と考えており、マーケティングの機能としての確認の手間が入った分、アライアンス戦略の記載も複雑なものになるはずである。
この関連について、事前プロセス、時間軸および関係解消の可能性の視点で整理してみる。
目次
1.アライアンスに至る“多面的な”背景論が出し尽くされているか
マーケティング担当部署またはその視点を持つ人材の強みは、自組織の分析のみならず、他組織の分析もできることである。
「アライアンスは、目的達成のための手段の一つであって、その中でも目的達成のため最も有力な手段である」という十全な状態を想定すると、自組織および相手組織の取りうる手段の可能性を、まずは洗い出さなければならない。
そうした場合、Win-Winの関係の条件のみならず、同時にLose-Lose、Win-Loseの関係の条件が登場してくることになる。さらにそれらの条件は、自組織と相手組織のそれぞれの状態にも依存することになるので、Win-Winとなるパターンを探っていくと、自ずと背景論は“多面的な”事項を付け加えて記述されることになる。
加えて、この多面性の議論が十分に出し尽くしているかどうかが品質面では重要となる。
2.時間軸を想定したWin-Winの計画が立てられているか
背景論が固まると、今度はWin-Winの関係の実現面を考える必要がある。その際、双方の合意に向けた調整にかかる時間とコストを考えると、初期からすぐにWin-Winの関係の実現というよりは、背景論で洗い出したLose-LoseとWin-Loseの条件を加味しながら時間をかけて調整する形態が現実的だろう。
また、達成したWin-Winの関係が条件変化で崩れるということもあり得る。つまり、良いアライアンス戦略には時間軸を入れた計画が求められる。
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| 松島和史 |
| 代表・DataStrategist |
| 主にサプライチェーン産業のノウハウを活かして、生産・物流・販売の統計を用いたデータ解析の設計から解析・改善の深耕まで実践中。モノから人へ。マーケティング視点と業務視点両方ありのプレイングマネージャータイプ |