今回は、ECと実店舗販売の部署が分離している事業体に向けた、O2O(Online to Offline)マーケティングの効果的な実践のための組織案を提案する。本提案の背景としては、O2Oマーケティングの実施への障壁として、ECと実店舗販売の担当部署間での顧客の奪い合いへの懸念がある。
この懸念が発生する根本は、部署別売上目標であるので、対策として単純には部署を統合させるのが一案である。また、統合案は部署別予算制の枠中で統合的・効果的なサービスを考案するという観点からも有効である。ただし、変遷の異なる部署の統合は、旧来の長所を生かしつつ効果的なものにする工夫が生じる。本稿にてその具体化を考えてみたい。
目次
1.単純な部署統合では不十分で、旧来の長所の反映とノウハウの共有と底上げの仕組みがいる
ECと実店舗販売の部署が分離している状態では、事業体の運用の基本として部署別の売上目標がある以上、相互の乖離が生じやすい。その最たるものが、顧客の奪い合いへの懸念である。
この解消のためには部署統合がわかりやすい方向であるが、その中身の工夫としてECと実店舗販売の評価軸を残した便宜上の“ミニ”マトリクス組織を提案したい。
ミニとしたのは、このマトリクスが、一般的に用いられる日常型の指令体系と非日常の指令体系といったミッション別の交差ではなく、日常型の指令系統・共通ミッションの下、販路別の評価軸に基づく交差の構図であることによる。なお、部員のそれぞれの交差先に上長が付くのは共通している。
本マトリクス構造の大きい利点としては、ECと実店舗販売の評価軸を残しているので、それぞれの評価軸と部員の経験の背景を合わせての部署ミッションの立ち位置が、単なる合併部署体制と比較して明確化しやすいことにある。さらに、それぞれの軸上の相違点、共通点が整理しやすくなるため、部員が自主的に旧来部署の長所の反映の仕方や共通ノウハウの底上げの議論が行いやすくなると考える。加えて、評価軸のウェイト付けと組み合わせて人事評価体系にも応用が可能である。
2.暗黙的な定着か分離性を保持した定着か
前節でのマトリクス構造は、部署合併初期では旧来部署のノウハウの整理と統合の際に特に有効に機能するが、O2Oマーケティングとしての統一の基準が成立すると、自然と必要としなくなり暗黙化することもありえる。
しかし、意図的に残しておくことで元来要件が異なっているECと実店舗販売の相違点を保持したまま、絶えず議論して改善ができる構造としてとらえることができる。筆者は、外部人材の登用の際の組織ミッションの再整理の必要性から後者を推薦したい。
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| 松島和史 |
| 代表・DataStrategist |
| 主にサプライチェーン産業のノウハウを活かして、生産・物流・販売の統計を用いたデータ解析の設計から解析・改善の深耕まで実践中。モノから人へ。マーケティング視点と業務視点両方ありのプレイングマネージャータイプ |