今回はマーケティングにおけるモニタリングの必要性について取り上げる。代表的な活動としてはモニターを用いた市場調査が実例では普及しているが、本稿では製品・サービスを作り込むプロセスに設けるモニタリングに着目する。

 

 

このモニタリングでは、プロジェクト期間中の改善点の確認、ひいてはプロジェクト全体での品質を向上させる上で非常に有用である。さらに、この品質面を製品・サービスにおける強みの一つとして、モニタリング結果とそれを伝えるメディアを併用する形で対外的に活用する場合、顧客関係性の強化に関して応用性がある分野となる。

 

 

目次

 

1.独立性のある指標を「作り込む」 

 

 

モニタリングでのはじめの課題は、指標として何を設定するかである。例えば、プロセスを詳細にモニタリングすることで、プロジェクト運用面の指標としては品質管理に関わる指標、ユーザーへの関心面の指標としては製品・サービスへの安心感や信頼感に関わる指標が計りやすくなる。

 

 

プロジェクトをより良く展開する意図で、多くの指標を設定する傾向が出るが、類似の指標や相関が明らかな指標のグループでは多面性に欠け、結果としての競合との差別化要因につながらない。そのため、独立性のある指標を手間をかけて「作り込む」ことが重要となる。

 

 

このことは、製品・サービスに関してのブランド価値の一端をなすものでもある。実際には、モニタリングはその時々に応じた改善のプロセスや手段が合わせて必要になるので、品質管理面での差別化が大きく、開発・製造に存在するバリューチェーンの種類と期間が長い商品に適する。例えば、農作物や品質面の良さと製造プロセスの丁寧さを前面に押し出した製品である。

 

 

 

2.生産者と消費者の「協同参加型の価値観」を作り込む

 

 

前節のモニタリングの指標の作り込みを、生産者のみではなく、消費者との対話を通じて行う場合、共同の価値観を作り込むプロセスにもなり得る。実は、前節でのモニタリングの指標は、「生産者から見た」商品・サービスの差別化に有利になる指標であるので、見方によっては、あまり差別化になっていない当たり前の範疇の指標となってしまう可能性がある。

 

 

そこで、モニタリング結果を消費者と共有した上で、「価値観のすり合わせ」として強みとなる部分を理解し合うというプロセスが入る余地が生じている。

 

この手順を経た消費者は、その製品・サービスを自組織になり代わって宣伝してくれるアンバサダーとなってくれる可能性が高い。また、生産者から見た商品・サービスの差別化の指標が客観的にも有力なものである場合は、生産者側から消費者への「価値観の浸透」の効果で、体験した消費者はアンバサダーとなり得る。

 

 

このように、モニタリングを活用することで、製品・サービスの開発時に同時進行で消費者への訴求活動が行える。これは、製品・サービスの事前期待を用いた消費者参加型のプロモーションの一つでもある。

 

 

ところで、マーケティングの手法として、「後日記」方式での発売・リリースの後しばらく経ってから情報を発信するのは、この手法とは対照的であり、製品・サービスの特徴と合わせて消費者への訴求効果の差異について比較検討の余地が生じると考える。

 

 

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松島和史
代表・DataStrategist
主にサプライチェーン産業のノウハウを活かして、生産・物流・販売の統計を用いたデータ解析の設計から解析・改善の深耕まで実践中。モノから人へ。マーケティング視点と業務視点両方ありのプレイングマネージャータイプ