今回は、大規模データを扱う統計調査において、現在より一層重要となるポリシーの確立を取り上げる。本稿ではそのポリシーを便宜上、「統計調査ポリシー」とする。

 

統計調査ポリシーは、統計の業務プロセスにおいて限定的に議論される関係上、その柱の構成が不明確のまま見過ごされやすい状況であった。しかし、データマーケティングの浸透に際して、統計調査を行った背景、目的、手法および活用方法といった一連の内容の議論・比較から、作り直しや改善の必要性が増してきており、

明文化を伴う統計調査ポリシーの明確な立脚点が求められている。

 

そこで、本稿ではマーケティング部署の統計調査ポリシーとそれを取り巻く実運用上の制約条件を考えることで、考慮すべき統計調査ポリシーの柱の中身の要素を洗い出してみることにする。

 

 

目次

 

 

1.統計調査ポリシーは運用上、統計調査の予算のパワーバランスを反映したポリシーでもある 

 

 

事業体のマーケティング部署が担当する統計調査の対象は、最もイメージしやすいものとして外部環境としての市場がある。統計調査が単独の目的であるならば、その活動はマーケティング部署のみで行われ、かけるべき予算も調査のサンプル数、精度の兼ね合いからマーケティング部署内の裁量で市場に密着した形式で行われることがあり得る。

 

しかしながら、実際はそこから得た結果を活用して、次なる行動に結びつける目的での統計調査が存在していることが多い。そうした場合、プロジェクトの一プロセスの予算の位置付けとして統計調査であることになり、予算の比重での主導権限の力関係から、自ずと調査対象以外の要因が統計調査ポリシーとして入り込む余地が生じている。

 

 

本稿では、統計調査ポリシーに影響を与えうる、予算元でもある統計結果の行き先を大まかに分けて、経営側面と執行側面、部署としての経営戦略部署とITシステム部署を想定して問題を考える。

 

 

はじめに、経営側面が反映された統計調査ポリシーを想定する。経営側面が反映されると、利益効率を伸ばしたい意図により、事業体の過去の体験事例が入り込んで内部と外部の環境の区分が曖昧になる可能性がある。

 

この場合のマーケティング部署としての確認事項として、事業体の体験事例の中身が成功例に偏っていないか、またその体験事例が特定の製品・サービスの各論に依拠し過ぎていないか、過去の体験時点の外部環境と現在・将来の外部環境の相違は何か、といったことがある。

 

次に、執行側面が反映された統計調査ポリシーを想定する。実のところ、データマーケティングの活動を行う上での大きな課題として、統計結果の品質は現行のITシステムの処理の仕様に依存していることが非常に多い。

 

データの量と複雑性の観点から手動での検証が現実的に難しく、BIツールを始めとしたITシステムの処理方法の適合した調査の入力データ形式の要求とそれによる定型の出力結果に依拠している。これを鑑みつつマーケティング部署の課題として、過去のITシステム作成時の仕様と現在・将来の統計調査での適切さとのギャップの整理、そのギャップを埋める際の費用対効果の算出、さらには外部環境と内部リソースの自由度を埋めるオペレーション上の工夫、といったことが幅広くある。

 

 

2.統計調査ポリシーの立脚点の明文化から個性のある調査フィルターの主張へ

 

 

前節での統計調査ポリシーでの事業体の内部制約の反映は、データマーケティングの本来の意図である、自由度の高い仕様での統計データ取得の可能性を狭めてしまうリスクがある。一方、それを含めて事業体の「柱」として整理・明文化した上で統計調査ポリシーの立脚点を定めて実践する場合、「個性のある統計調査ポリシー」を定めた結果として、フィルターをかけて外部環境をとらえることになる。

 

 

結果として、統計調査ポリシーは事業体の独自性を反映したノウハウとなるため、競争力の保持の観点から表には出てこなく、第三者を交えた広い議論、比較検討する機会はほぼない。そのため、本筋とは異なる活動の結果で、データマーケティングへの社会的期待が雲散霧消する可能性がある。こうした混沌性のある状況下では、なおさら事業体ごとのマーケティング部署のイノベータ―、および事業体の協業体制の画期的な挑戦の姿勢が問われてくると考える。

 

 

 

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松島和史
代表・DataStrategist
主にサプライチェーン産業のノウハウを活かして、生産・物流・販売の統計を用いたデータ解析の設計から解析・改善の深耕まで実践中。モノから人へ。マーケティング視点と業務視点両方ありのプレイングマネージャータイプ