今回はビッグデータの統計処理について取り上げる。ビッグデータに関する統計処理の要求レベルは、現状、利便性への期待が先行し上昇している最中であり、効率化の十分な議論ができる状況までは至っていない。
この要求レベルの上昇が落ち着き、市場の需給バランスが安定した後は、業界としての効率化の方向に向かうものと考える。本稿では、その際の状況を僭越ながら推定し、そこから自組織の競争優位につながるヒントを考えてみたい。
目次
1.統計処理を行う側の処理ステップ数は増大について
ビッグデータの統計処理の効率化に当たって、実際に手を動かして統計処理を行う方々の負担をどう減らすかを考えるのが、まずはわかりやすい。
本稿では、負担量として、「単位時間毎の負担量×単位作業ステップ毎にかかる時間×作業ステップ数」の式で仮定する。そうすると、単位時間毎の負担量および単位作業ステップ毎にかかる時間は、BIツールのユーザー・インターフェースの改善や処理ロジックでの速度面の向上により、減少するものと推定できる。
さて、作業ステップについては、増大していくものと考える。なぜなら。統計処理結果を評価する側の要求レベルが現行より今後高くなる見込みであることから、より高度な分析まで踏み込む必要があるからである。
結果として、分析のバリューチェーンが長くなることから、現行のラインナップより深く一貫性のある分析BIツール、または、ある分析に特化したBIツールと異なるBIツールのフォーマットの格差を是正する補助ツールを多様に使い分ける必要が生じてくる。それと同時に、分析作業の分業化の可能性と、分析結果の統一性を担保する仕組みを両立させる工夫がより一層の効率化への鍵となる。
2.統計処理結果を評価する側の負担と工夫について
現行よりも高レベル化するビッグデータの統計処理結果を評価して、それを実行するのが、評価側の任務である。
自ずと、処理結果を高度に解釈する力とそれに基づき遂行するが求められる。結果面の効率性のコミットは当然として、それらの能力をどうやって効率的にかつ十分に身に付けるかのプロセス面が非常に重要となってくる。
3.鍵は不断の統計実務力のプロセス要因の人事評価への組み入れ
前節のプロセスを生み出すモチベーション面のプロセスとして、統計実務力の評価を組み入れた人事評価を提案する。
この際、考慮すべきことは、統計の能力を発揮する場は日常では限定的であり、日常性から出てくる評価項目とは扱いが異なることである。その理由から、統計実務力が発揮される機会の不断の環境整備が必要となっている。やや踏み込んで言及すると、統計の実務能力を用いて「実行面も含めて結果が出た」状態が確認できることは希少であることから、それを補うプロセス面の評価も要することになる。
自組織の特殊性を反映しているビッグデータから問題傾向を導出し、より良い経営戦略の立案を考えていくという意味で、統計を行う側から評価する側への人材育成計画を含めた人事制度が今後の効率化、ひいては自組織の競争優位性の鍵になるのではないか。
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| 松島和史 |
| 代表・DataStrategist |
| 主にサプライチェーン産業のノウハウを活かして、生産・物流・販売の統計を用いたデータ解析の設計から解析・改善の深耕まで実践中。モノから人へ。マーケティング視点と業務視点両方ありのプレイングマネージャータイプ |