データマーケティングは矛盾を含む用語である。なぜなら、マーケティングにデータを用いるとの解釈は成立するが、同時併用で常用すると相反する側面があるからである。
例えば、データは事後的成果であり、マーケティングは将来性の成果予測の側面で用いられる。また、対象として具体例を想定する場合、データはそれを表象する実体として、マーケティングはその周囲を構成する抽象概念とも解釈が可能である。
事業体の戦略としてシーズ志向の製品・サービスを、消費者のニーズ・ウォンツにどこまで適合していくかを考える場合、事前評価としてのアセスメントのプロセスが入れていくことがマーケティング上の打ち手として有効である。そこで、本稿では、近年整備されつつある、大規模なデータを生かした方法論を用いたそのアセスメントの運用について紹介する。
抽象度の高いシーズ志向のサービスを想定して、適合するユーザーの「探索」を兼ねて、アセスメントを行う状況下でその運用を考えてみたい。この探索では、データマーケティングの概念に含まれる矛盾を活用することになる。
目次
1. データ解析は「仮説」に対しての精度幅を与えると同時に、「消費者の想定」に対して自由度を与える
まず、本稿の想定である、抽象度の高いシーズ志向のサービスを事業体の戦略として打ち出す場合の状況を整理したい。近年の大量生産・大量消費の時代を経ている市場環境では、自製品と類似の商品があふれかえっている状況を想定して、消費者のウォンツに着目したブランド化戦略が採用される。
しかしながら、サービスが先進的であったり、ニッチ性をより強めたものであった場合、確かさの拠り所としての情報源が曖昧になっていく。
さらに、そのシーズ志向のサービス(製品と比較すると抽象的)を買ってくれる消費者像も抽象的になる。そこで、データマーケティングを用いたアセスメントのプロセスを挟むことで、抽象度を緩和または抽象的ながら確度の高い行動パターンとしての選択肢を探っていくことが有効になる。そのプロセスでは、利用できる具体的なデータの解析の作業を行うことになる。
ここで、筆者の記事「製品のデータマーケティングにおける大局観と具体化(3)」を参照してもらいたい。データ解析には自由度が存在していることにより、、シーズ志向の元となっている「仮説」の精度に結果的に幅を持たせることになり、それに基づくサービスを利用する「消費者の想定」にも自由度が出てくることになる。
このシーズの元の「仮説」と「消費者の想定」自由度の組み合わせから、本来のニーズとウォンツに結びつく要因を探索することが、データマーケティングを活用したアセスメントにおいて肝要となる。なお、解析の元になるデータはオープンデータなどの確度の高いデータの前提を要する。
2. 確定した状況そのものが強みにつながる
前節において、確度の高いデータを用いた解析を挟むアセスメントの最中では、サービスの仮説およびその消費者の想定では、要素のいくつかは確度が下がり、いくつかは確度が高まるという状況が起きえる。
結果的に、確度が高い要素に対して、優先度を考慮した上で、その後の行動に関する議論の土台が十分できてくる。このことから、筆者はそうした状況の確定が、抽象度の高いシーズ志向のサービスを展開する上では、相対的な強みとなると考える。
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| 松島和史 |
| 代表・DataStrategist |
| 主にサプライチェーン産業のノウハウを活かして、生産・物流・販売の統計を用いたデータ解析の設計から解析・改善の深耕まで実践中。モノから人へ。マーケティング視点と業務視点両方ありのプレイングマネージャータイプ |